データ分析・上級問題チェック

問題 9 /40

ベクトルの内積に関する説明で、誤っているものはどれか。

選択 1

ベクトルの内積は、結果がベクトルではなくスカラーで返る。

選択 2

座標(a1, a2)と(b1, b2)のベクトルの内積は、次の計算式で求めることができる。

選択 3

座標(a1, a2)と(b1, b2)のベクトルの内積は、次の計算式で求めることができる。

選択 4

内積が0の場合、2つのベクトルは正反対の方向を向いている。

解説

選択肢4が正解です。 内積が0の場合、2つのベクトルは正反対ではなく直角に交わっています。 ベクトルの内積は、結果がベクトルではなく数値(スカラー)で返ります。この数値は、2つのベクトルで作る「平行四辺形の面積」と考えると分かりやすいです。 内積の計算方法は選択肢2と3の方法があり、どちらも同じ結果になります。 【選択肢2】 各ベクトルの成分を掛けて足す計算方法です。下図のように座標(2,0)と(1,1)であれば、「(2×1) + (0×1) = 2」が内積となります。
【選択肢3】 cosθを使う計算方法です。各ベクトルの長さを三平方の定理で計算し、それぞれを掛けて、cosθの三角比を掛けます。上図のようにcos45°(1/√2)であれば、「√(4+0) × √(1+1) x (1/√2) = 2」が内積となります。 面積の公式は「底辺×高さ」です。内積を「平行四辺形の面積」と考える場合、底辺はベクトルAの長さで、高さはベクトルBからベクトルAに下ろした垂線の長さです。 この垂線は、次の図の辺Xと同じ長さになります。辺XはベクトルBの真上から光を当てたときの影になるため、「ベクトルBの正射影」と呼びます。
この正射影の長さは「ベクトルB × cosθ」と一致します。この式は、内積を求める「ベクトルA × ベクトルB × cosθ」の後半の式と同じです。つまり内積は、「ベクトルA × 正射影の長さ(=垂線)」と置き換えることができます。
こうして内積は、「底辺(ベクトルA) × 高さ(正射影=垂線)」で求める面積と考えることができます。
cosθが135°のように鈍角になっている場合は、次の図のような面積になります。cos135°が「-1/√2」のため、面積も内積も-2になります。通常、面積は正の値になりますが、内積として考える場合は負の値も持ちます。
ベクトルAとベクトルBが直角に交わるときも、面積で考えることができます。面積を求めるときの高さは、BベクトルではなくBベクトルの正射影です。Bベクトルに真上から光を当てると、影ができないため長さは0になります。「長さ0 × 底辺 = 0」のため面積は0になり、内積もcos90°の三角比が0のため0になります。
なお、2つのベクトルが正反対を向いている場合はcos180°のため三角比が-1、全く同じ方向を向いている場合はcos0°のため三角比が1になります。 ベクトルの内積は機械学習でも利用されます。個々のデータをベクトルととらえ、内積の正負や大きさに応じてデータを分類することがあります。 (公式書籍 p.65)